愛隣コラム&ニュース


2012年02月17日 金曜日中国事情

中国と北朝鮮の国境のまち「丹東」その3

元最高指導者、金正日(キム・ジョンイル)総書記が死去されて、ちょうど2カ月が経つ北朝鮮は、軍隊との関係を前面に出して金正恩(キム・ジョンウン)新体制への移行に注力している。

一方では、最大のスポンサーである中国との関係をより深めるために、黄金坪経済特区(中国側は遼寧省丹東市)と同様に、北朝鮮の北東部の羅先経済特区(中国側は吉林省延吉市)での中朝共同開発を進めている。

羅先(ラソン)は、中国・ロシア・北朝鮮の3ヵ国が接する場所で、羅先港は北朝鮮の重要な物流拠点となっている。
港が無い中国吉林省にとっては、国境線から羅先港までの55kmの鉄道敷設を行う権利を獲得したことで、日本海への物流網が構築できることになった。また、羅先の飛行場や火力発電所の建設も中国が担当するようで、着々と朝鮮半島への布石を打ってきている。


戦後の日本の国民所得倍増計画をけん引した「太平洋ベルト地帯」同様、これからは東アジアに近い佐賀県・福岡県・山口県・鳥取県・富山県・新潟県等、日本海側のエリアが注目されるところだ。

今後の北朝鮮は、中国指導のもとで改革解放をしていくと思うが、先ずは朝鮮半島の平和と安定を維持し、緩やかに開かれた国を目指して欲しい。そして、一日も早く38度線が無くなり、東アジアの安定した発展を望みたい。


気分を変えて、中朝国境線の丹東観光について少し書いてみたい。
中朝国境線の鴨緑江の遊覧船には、「中朝友好の橋」や朝鮮戦争で国連軍に爆撃されて落とされた「断橋」の下まで行き、北朝鮮側を回るコースがある。
「断橋」も落とされた先端部分まで歩いて行かれる。

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       (左:中朝友好の橋・右:断橋の端までの遊歩道)


丹東市から20km鴨緑江を北上すると川幅が数メートルとなる「一歩跨」(いっぽまたぎ)という場所があり、小さい観光船で北朝鮮の兵士が警備をしている国境監視所まで行くことができる。

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       (写真の対岸は北朝鮮)

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       (川の左は北朝鮮・右は中国) 虎山長城より撮影


この川の横に小高い山があり、万里の長城の東端となる「虎山長城」がある。

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過去には、河北省と遼寧省の省境に位置する海に突き出た「山海関」が、万里の長城の東端と言われていたが、2009年に「虎山長城」が東端と訂正され、西端の甘粛省「嘉峪関」からの万里の長城の長さも1000km以上延びて、再調査の結果、現在は8,851.8kmと発表されている。

国境線の観光としては、ふつうはこのくらいで終わるが、実は中朝国境線の最後は道路で地続きとなっている。
車から降りて写真を撮っていると国境警備隊が来てカメラを没収するか、画像を消去させられると言われたが、上手く撮影できました。

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       (有刺鉄線の先は北朝鮮・手前は中国)


写真撮影後、速やかにその場を去り、かなり経ってからUターンして戻ってきたときには、国境警備隊に捕まっている観光客がいました。

2年前に「丹東空港から週3便、北朝鮮観光の飛行機が飛んでいるから是非次回は一緒に行こう!」と日本企業で働いていた日本語の上手なガイドに言われ、アリラン祭のマスゲームなら見てみたいと思っているが、いつになったら安心して北朝鮮に行かれるだろうか。